シーオス株式会社 様
■業種
情報通信業
■事業内容
コンサルティング・テクノロジーサービス、プロダクト開発・SaaS、オペレーションマネジメント
■適用業務
クラウドサービスからの帳票出力
■利用機能
PDF出力、Excel出力、印刷(データ生成)、ノンコーディング帳票システム
シーオス株式会社
システムインテグレーション&ソフトウェア・プロダクト部
プロダクト開発グループ マネージャー
岡 裕美氏
シーオスは、ロジスティクス領域に特化したコンサルティング/エンジニアリング事業、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)などのシステム受託開発、パッケージソフトウェア開発といったシステムインテグレーション事業など、コンサルから開発まで一気通貫でビジネスを展開している。
近年では従来のパッケージ製品を発展させたSaaS型クラウドサービスも提供しており、2017年にリリースしたのがクラウドWMSサービス「Xble(キシブル)」だ。
「Xbleは、WMSとしての一般的な機能を網羅し、サーバーにインストールすることなくすぐに利用開始できることが特長です。なかでも倉庫現場の作業者が短時間で商品を出荷できるように作業の動線を案内する機能、商品の置き場所を効率化したり配置を容易に変更できたりする機能は、お客様から高く評価されています」(システムインテグレーション&ソフトウェア・プロダクト部 グループ長 鳥海 章氏)
そんなXbleだが、リリースから5年が経過し、新たな課題が浮き彫りになった。
「Xbleの帳票機能は帳票の形式ごとに異なるアーキテクチャを用いて実装してきたこともあり、帳票開発や保守メンテナンスが大きな負担になっていました。この課題を解決し、システムのコア機能に開発リソースを集中させるために、外部の帳票ツールの導入を検討することにしました」(システムインテグレーション&ソフトウェア・プロダクト部 プロダクト開発グループ マネージャー 岡 裕美氏)
Xbleの帳票機能は従来、顧客ごとの個別ニーズに応えるために、Microsoft AccessとVB(Visual Basic)アプリを組み合わせて開発していた。またExcel出力にはJETT(Java Excel Template Translator)ライブラリ、PDF出力には自社開発のVBアプリを使用していた。
「Xbleの帳票機能はツギハギに開発してきたため、統一感がない状態でした。またAccessとVBアプリの組み合わせは、お客様のPC環境に依存した障害を引き起こすこともありました。メンテナンスをしようにも、『この帳票はどうやって出力しているのか』を探るところから始めている状況でした」(岡氏)
シーオス株式会社
システムインテグレーション&ソフトウェア・プロダクト部
SIグループ
中塚 貴文氏
シーオスが帳票ツールの導入に向けて動き出したのは、2022年夏のこと。2023年12月に予定していた大型アップデートのタイミングで帳票機能を刷新することを目標に、ツールの選定作業を開始した。
「自社のサービスに組み込むことになるため、帳票出力時に不具合が絶対に発生しないという信頼性、倉庫の現場を停滞させないための処理スピードをとくに重視しました。評価版による動作確認やパフォーマンスの計測といった検証作業を約1ヶ月かけて行っています。そして信頼性と性能が最も優れていたことが決め手となり、2022年11月にCreate!Formを導入することにしました」(鳥海氏)
そこから大型アップデートに向け、帳票機能を刷新するための組み込みと帳票の作成作業に取り掛かった。
「Create!Formはクラウド上の仮想インスタンスにも対応しているので、Xbleのようなクラウドサービスへの組み込みもスムーズに行えます。帳票については基本的に既存の帳票を『Create!Form Design』にインポートし、それを微調整しながら一つひとつ作成しました。一つの帳票が完成するたびに確認とテストを繰り返し、完成度を高めていきました。また分からないことが出た際には、問い合わせやFAQ検索を利用することで、具体的な解決方法に速やかに辿り着けたことも高評価でした」(岡氏)
なお、Xbleの新しい帳票機能の稼働サーバーを独立させるために、監視フォルダーに投入された帳票データファイルを検知して出力ジョブを自動実行できる「Create!Form Magicfolder」も採用された。
約1年をかけて進められた帳票機能の刷新は予定通りに完了。現在は、請求書や納品書、作業指示書といったPDF帳票14種類、各種明細一覧などのExcel帳票6種類、運送会社用送り状などのクライアント印刷帳票8種類が用意されている。
XbleへのCreate!Form帳票機能組み込み構成図
Create!Formによる帳票機能の提供が始まってから間もないものの、シーオスではすでに導入効果を実感しているという。
「従来の帳票機能は開発・保守メンテナンスが難しかったため、お客様から修正依頼があったとしても、すべてに対応できずにお断りすることもありました。それがCreate!Formへ移行してからは、新たにお客様個別のカスタマイズ案件にも容易かつ安価に応えられるようになり、収益向上にもつながりました。このようにお客様の要望に対応できるようになったことで、心理的な負担からも解放されました」(鳥海氏)
「帳票設計については、項目ごとに桁数や文字サイズを詳細に指定してからレイアウトしていたのですが、Create!Formを使えばレイアウトを作成するだけで後から帳票仕様書を出力できます。これにより帳票設計にかかる工数・コストが大幅に抑制できました。開発・保守メンテナンスにかかる時間も、AccessとVBアプリを使っていたこれまでに比べて6割以上は削減できていると感じています。とくに帳票をレイアウトする際、従来は罫線の長さや項目の高さ、幅などのXY座標を数値で指定しなければなりませんでしたが、いまはCreate!Form Designを使って視覚的にレイアウトすることができます」(岡氏)
シーオスでは今後、Create!Formを社内標準の帳票ツールに位置付け、広く展開していく予定だという。すでに一部の新規受託開発にCreate!Formを取り入れ始めているとのことだ。
「Xbleへの組み込み実績から、新規受託開発の帳票機能にもCreate!Formの導入を進めています。Create!Formは操作性に優れており、受託開発チームからも好評です。またインフォテックのエンジニアと相談しながら、Xbleでは採用していないCreate!Formの機能が活用できないか検討している最中です」(システムインテグレーション&ソフトウェア・プロダクト部 SIグループ 中塚 貴文氏)
SaaS型クラウドサービスの高機能化・多機能化が進むなか、シーオスのようにシステムのコア機能に開発リソースを集中させたいというニーズが急速に高まっている。とくにシステムに必須ながらもノンコア機能である帳票は、組み込みやすく安価な外部ツールに頼ることが最善策だ。帳票ツールCreate!Formは、これからも頼れる裏方として、シーオスの開発力を支えていく。
※取材 2024年2月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。