「人事システムでこれまで使用していた帳票エンジンと比べて不満は感じませんでした。マイナンバー管理サービスの帳票機能に、ライセンス費用面でメリットの大きいCreate!Formを選びました」
(写真左より、ラクラス株式会社 ITサービス部門 佐々木 悠太氏、ラクラス株式会社 ITサービス部門 ディレクター 野上 彰一氏)
ラクラス株式会社(以下、ラクラス)では、同社が提供する「マイナンバー管理サービス」の帳票機能にCreate!Formのランタイム版を採用しています。その経緯とねらいについて、詳しく話を伺いました。
目次
本社所在地: 東京都文京区後楽1-4-25 日教販ビル5F
設立:2005年5月20日
資本金:1億円(2014年5月15日現在)
従業員数:125名
事業内容:戦略人事を実現する「人事インフラ」の提供
人事クラウドとBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)のリーディング・カンパニー。大企業グループのシェアードサービスセンターから中堅企業まで、規模を問わず豊富な導入実績を誇る。ラクラスならではの革新的な技術と手法は、給与計算を含むすべての人事情報処理業務を効率化すると同時に、 データベースに蓄えられた人事情報をリアルタイムに分析・可視化することで、顧客の戦略的な決断を支援している。
Create!Formを組み込んでいる「マイナンバー管理サービス」についてご紹介ください。
マイナンバー管理サービスは、当社がマイナンバーを収集し、保管・廃棄するサービスです。お客様は、自社内にマイナンバーの情報を残すことなく、当社が保管しているマイナンバーを参照したり、マイナンバーを記載した税務帳票を印刷したりすることができます。
図1.マイナンバー管理サービスの利用イメージ(画像提供:ラクラス)
マイナンバー管理サービスの特徴を教えてください。
マイナンバー管理サービスには、大きく5つの特徴があります。
従業員だけでなく、社宅賃料や報酬支払先のマイナンバー、さらには社労士事務所や給与アウトソーサ等の業務委託先も含め、すべてのマイナンバーを集約。収集から保管、廃棄までライフサイクルをトータルで管理します。業務委託先である社労士事務所などが利用してもらうことも可能です。
マイナンバーの収集に関して、PCやスマートデバイスからクラウドサービスを利用して収集する方法のほか、紙の申告書を使った収集にも対応しています。
安全で効率的なマイナンバー利用のために、複数の方法を提供しています。操作は認証を設定したPCに限られますが、1件ずつマイナンバーを確認することも、ワークシート形式で一括ダウンロードすることもできます。また、源泉徴収票や社会保険関連の帳票にマイナンバーを記載したPDFデータをダウンロードすることも可能です。
ラクラスではこれまで人事BPO (Business Process Outsourcing) サービスを、約130 社50,000 人以上に提供してきました。「マイナンバー管理サービス」の開始にあたって、過去10 年間にわたりお客様の個人情報をお預かりしてきた実績と経験を基礎に据え、さらなる安全管理措置の強化を行っています。
「マイナンバー管理サービス」は、これまでも個人情報を正しく取り扱うために構築・運用してきたインフラをベースに開発しています。ゼロからサービスやシステムを開発したわけではないので、手間やコストを抑えることができました。その分、サービス利用コストも大幅に抑えることができました。
図2.マイナンバー管理サービスシステム概要
「マイナンバー管理サービス」の帳票出力エンジンとして、Create!Formを採用した経緯を教えてください。
「帳票出力エンジンを再検討してみる良い機会だと思いました」(野上氏)
当社のサービスの中心にあるのは人事情報管理サービス(以下、人事サービス)です。そのシステムには15年以上前から別の帳票出力エンジンを利用してきました。帳票出力エンジンを自社で開発するのは負担が大きく、人事サービスの開発に注力するためです。
帳票出力エンジンは、一度、決めてしまうと、変えることが容易ではありません。各社の帳票データには互換性がない場合が多く、これまで利用してきた帳票の互換性が確保できなくなってしまうからです。また、当社においては機能面で大きな不満もなかったので、同じ帳票出力エンジンを使い続けてきました。
その一方、ライセンスや保守にかかるコストの負担が大きいこと。さらには、ライセンス体系がクラウドサービスなどへ柔軟に対応していないといったことは、当社にとって重要な課題となっていました。帳票出力エンジンの利用コストを抑えることができれば、その分、お客様に提供するサービスの利用コストも抑えることができるからです。
今回提供を開始した「マイナンバー管理サービス」は、お客様にとって新たな利益やコスト削減を生み出すものではありません。そのため、できるだけ利用コストを抑えたいと考えました。
また、「マイナンバー管理サービス」に関しては、現時点で必要な帳票の数や種類は限られ、人事システムとの互換性なども不要なことから、利用する帳票出力エンジンにはこだわらずに済むという背景もありました。
さらに、具体的なことは何も決まっていませんが、将来的に人事システムの帳票出力エンジンを再検討する機会があるかもしれないということを想定して、エンジンを調査・検討をしておきたいという目論みもありました。
帳票出力エンジンは、どのように選定をしたのでしょうか。
ライセンスコストやライセンス体系は重要な比較要件でしたが、安かろう悪かろうでは困ります。そういう意味では、「ある程度の負荷がかかっても帳票出力エンジンとして確実に帳票を出力できるか」「帳票フォームの設計やメンテナンスがしやすいか」といった点を中心に検討をしました。
「ある程度の負荷がかかっても帳票出力エンジンとして確実に帳票を出力できるか」というのは、どのように検証したのでしょうか。
Create!Formに関しては試用版をダウンロードして、実際に大量の帳票を出力して検証をしました。処理件数が増えてもパフォーマンスに問題はありませんでした。むしろ、処理件数に比例してCPUやメモリへの負荷も増加するので、とてもわかりやすいというか、たぶん変な処理や動きはしていないだろうということも確認できました。
「帳票フォームの設計やメンテナンスがしやすいか」という点に関しては。
同様に、評価版を使って検証をしました。実際に使ってみると、帳票設計ツールが使いやすく、プログラミングの知識を持ったエンジニアでなくても設計ができる、すなわちプログラマーと帳票設計者の役割分担ができることを確認できました。
Create!Formを採用した理由を教えてください。
「Create!Formを採用したことが、短期間にサービスをリリースできた一因となりました」(佐々木 氏)
データベースから取得したデータを、出力処理へとシンプルに受け渡すことができ、帳票フォームの作成も容易で、PDFへの出力処理速度も速いので、帳票出力エンジンとしての基本的な機能は、人事システムで使用しているエンジンと比べて大きな差は感じられませんでした。
当社のねらい通り、ライセンスコストが安価であることは採用の大きな決め手となりました。
実際に利用した上で、Create!Formへの評価などがあればお聞かせください。
今回、開発期間にあまり余裕がなかったので、プログラムからの呼び出しがシンプルで、マニュアルを参照すればすぐに開発を使い始められたのは、とても助かりました。
また、帳票作成作業に割く人的リソースの余裕もなかったので、インフォテックに作業を代行してもらえたことも、スムーズかつ短期間にサービスをリリースできた要因だと思っていますし、感謝しています。
一方、将来的な展望という点では、帳票フォームの作成が容易で、システム開発とは分離して作業ができ、いざとなれば帳票フォームの作成作業を代行してもらえるというのは、横展開をしていく上で有利だと捉えています。
「マイナンバー管理サービス」において必要な帳票は数種類でしたが、人事システムやほかのシステムでは、お客様によって数十種類の帳票が必要になる場合もあります。帳票出力エンジンを刷新するとなれば膨大な数の帳票を移行しなければなりませんので。
図3.システム図
インフォテックに対する要望や期待などがあれば教えてください。
当社からの問い合わせに関して、迅速に対応してもらいとても助かりました。しかし、「マイナンバー管理サービス」の開発を進めるにあたって、Create!Formに関してはほとんど苦労したことがなく、正直なところ、技術的なサポートを受ける機会はあまり多くありませんでした。
これから、人事システムにおける帳票出力エンジンの移行や別システムでの活用というフェーズに入っていったときには、技術面だけでなく、トレーニングや作業代行などを含めた支援に期待しています。
※取材日時 2016年1月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。