軽いPDFでトラフィック軽減と高速印刷を実現、本社-支店間の帳票出力を低コストでオープン化
三井住友海上きらめき生命保険株式会社は、これまでの、ホスト-専用線-エミュレータ-専用プリンタの構成で運用されていた、センター、本社、各支店における保険業務の帳票出力を、イントラネットを利用した新システムへ移行し、将来へ向けた柔軟な体制を構築した。
従来帳票は、プレプリント用紙にホストから出力されるデータを載せて印刷する方式。このデータをそのまま利用して、完全電子フォーム化する手法を模索したが、一般的な印刷では電子フォーム部分も含まれるのでデータ量と印刷速度などに課題も残る。結果、Create!Formで作成される軽量なPDFを利用し、PDFをダイレクトに高速印刷することで運用面を含め最良の解決策を得ることができた。
それまでの帳票を含む保険業務のオンラインシステムは、ホスト(データセンター)と本社、支社間を専用線で接続し、端末エミュレータとはIPXやNetBEUIのプロトコルで行っていました。帳票印刷は、オンライン端末と対になった専用プリンタ用の印刷データをホスト側で作成して端末を経由して直接出力する方法となっていました。この状況において、専用プリンタの製造サポート終了、さらには端末エミュレータのサポート停止により、完全にシステム見直しを余儀なくされる状況に直面しました。
生命保険業務の帳票出力ではさまざまな特有の事情があります。例えば、数十種類のプレプリント専用紙のストック。プレプリント専用紙は補充のための印刷業者への依頼から保管、もちろん印刷時の用紙補充など多くの手間と費用がかかります。保険業務では申込み、更新などで使用されるものや更には契約証書などフォームのデザインが重要な要素となることも多いので注意が必要です。また、全てが白い同一サイズの用紙で実現できれば問題ありませんが、サイズ、色、厚さなど用紙の給紙やプリンタ台数などを含めて検討をする必要もあります。こういったプリンタ環境も含めた課題が山積していました。
「それまでの方式では、帳票の印刷時にプレプリントの専用紙を手差しして印字していました。全国の支社では、常に必要な専用紙を保管・管理しなければなりません。専用紙を変更する場合には、前日までの専用紙と変更日以降の専用紙を用意し、的確に対応しなければならないのです。」
商品・システム部 システム第二グループ 課長代理
松山美香氏
これまでの、専用線、専用プリンタ、プレプリント用紙、専用プログラムの作りこみなどによるシステム運用の経験から、コスト、拡張性、運用面など新システムではできるだけオープンスタンダードと市販ツールをベースに構築することが課題でした。
契約データをはじめ膨大なデータが飛び交う保険業務、帳票出力にも厳しい条件を設定しました。
このような条件に対して提案されたのが、Create!Formと高速カラープリンタDocuPrint C3530の優れたコラボレーションによるカラー帳票印刷ソリューションでした。
端末からの指示によりホストで作成された印刷データが帳票出力サーバの所定フォルダへ。所定のフォルダは、Create!Form Magicfolderで監視されており、即座に帳票種別により振分け、Create!FormによりPDF生成。
本システムでは、Create!Form Magicfolderの後処理機能によりC3530の給紙制御と共に、ダイレクトにPDFの超高速印刷を行っており、作成されたPDFは確認、再印刷用に保管されています。また、印刷の際には、プリンタ監視によりプリンタが正常に動作しているか(オンライン状態)を確認して確実な印刷出力を行っています。
従来のセンター出力データに手を加えず、ネットワークトラフィックを軽減し、高速でシンプル、且つ、業務形態に柔軟に対応できる新システムを如何に構築するか。Create!Form MagicfolderとDocuPrint C3530のコラボレーションによる帳票出力ソリューションが、この課題をクリアしました。
プレプリント専用紙の廃止は帳票ツールを使用することで実現可能ですが、障害対策、他業務との共存利用などを含めた総合的な解決には出力製品単体では課題も多く、かといってシステムの作りこみでは今後のメンテナンスコストが掛かりすぎます。Create!Formは既存データの流用、軽量高速出力などはそのままで効果がありますが、運用を含めた総合ソリューションとしては他の機能製品の併用が推奨されます。そこで今回は、従来のホストデータの流用、プリンタ障害、他業務との共存利用などシステム構築、運用機能を担う製品として、Create!Form Magicfolderを採用。
Create!Form Magicfolderは、出力処理の前後に業務に合った処理の追加、出力環境の設定管理などの機能を提供する製品で、出力システム構築工程を劇的に削減し、ツールによる運用の柔軟性を飛躍的に高めます。
今回の大きな課題のひとつに、ネットワークトラフィックと出力レスポンスがありました。印刷出力データを最小限に小さくするには、描画命令を圧縮してプリンタに送ることですが、これに互換性、柔軟性、高機能性などの要件を含めたカラー帳票印刷ソリューションとして、コンテンツブリッジを利用したPDFダイレクト印刷を基盤とした帳票印刷システムを富士ゼロックス社とのコラボレーションにより実現することができました。
これにより、圧倒的な速さで高品質な、プレプリント専用紙の印刷を代替するカラー帳票印刷システムを提供することが可能となりました。
※本文中のお客様会社名は事例取材当時の社名で掲載しております。
※弊社は2014年7月1日に関連会社であるインフォテック株式会社と合併し、下記の通り社名を変更致しました。掲載内容は、当時の社名を現在の社名に置き換えておりますが、一部取材当時の情報もございますのでご了承ください。
旧社名:インフォテック・アーキテクツ株式会社
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