株式会社デザインフィル 様
■業種
製造業
■事業内容
デザインステーショナリーと周辺プロダクトの企画・開発・製造・販売、自社開発製品をベースにしたプレミアム、ノベルティーギフト、OEMの企画・デザイン・製作
■適用業務
基幹システムからの帳票出力
■利用機能
印刷、ノンコーディング帳票システム
株式会社デザインフィル
ICT部
マネージャー
今村 貴明氏
デザインフィルは、「ミドリ商會」を前身とする創設75年の老舗文房具メーカー。創設以来、便せんやノート、スケッチブックといった紙製品を中心とした文房具の企画・開発・製造・販売を一貫して手掛け、現在はステーショナリーおよび周辺プロダクト関連の「ライフスタイルデザイン事業」、プレミアム・ノベルティーギフトやOEM関連の「コマーシャルデザイン事業」の2つを軸にビジネスを展開している。
そんな同社では、文房具卸売業者などの取引先に対し、1明細1,000行におよぶ納品書を1日あたりおよそ100件、請求書を月間300件程度発行している。それらの帳票は、基幹システムからドットインパクトプリンターへ出力し、複写伝票に印字していた。
「当社の基幹システムは非常に古く、数年前から刷新に向けたプロジェクトの立ち上げを検討していました。そうしたなか、2023年10月からインボイス制度が施行されることが決まり、納品書・請求書をインボイス制度に対応するフォーマットへと変更する必要に迫られました。しかし、制度開始までの期間を考えると、基幹システムの刷新は間に合いません。そこで既存の基幹システムを部分的に改修し、暫定的にインボイス制度に対応させる方法を模索しました」(ICT部 マネージャー 今村 貴明氏)
ところが基幹システムのベンダーに問い合わせると、「開発環境が残っておらず、大幅な変更には対応できない」との返答を受けた。システム側の改修が困難な状況の中、デザインフィルでは新たな帳票ツールを導入することでインボイス対応を実現する方向へと切り替えた。
「プリンターはオルフィスにすることが決まっていたため、オルフィスとの連携に適した帳票ツールも併せて理想科学工業に紹介してもらうことにしました」(今村氏)
デザインフィルがオルフィスを選定した理由は、その圧倒的な印刷スピードにあった。従来のドットインパクトプリンターでは日々100件3,000枚程の納品書を印刷するのに約1時間もかかっていたため、業務効率化のためにも印刷処理の高速化には高い期待が寄せられていた。
帳票ツールを探していたデザインフィルに対し、理想科学工業から紹介されたのが「Create!Form」だった。
「帳票ツールの選定を始めたのは、インボイス制度が始まる直前の2023年8月でした。理想科学工業からは複数の製品を紹介されましたが、オルフィスとの連携実績があり、さらに当社のニーズに合致した納品書・請求書を作成できる帳票ツールとして、Create!Formが最適だと判断しました。制度対応の期限が迫る中で迅速に導入・運用できることも重要なポイントでした。そのため、Create!Formを採用する方向でトライアルを実施しました」(今村氏)
試用版の提供を受けるにあたり、デザインフィルはまず自社の納品書・請求書をインフォテックに提示し、同じデザイン・フォーマットを再現できるかを確認したという。
「インフォテックに相談したところ、具体的な解決策の提案を受けることができ、当社の納品書・請求書に合わせた見本も作ってもらいました。その見本を見て、Create!Formならば当社のフォーマットを忠実に再現できると確信できたため、導入を決定しました」(今村氏)
デザインフィルがインフォテックと正式に契約したのは、インボイス制度の施行まで残り1ヶ月を切った2023年9月のことだった。制度対応の期限が迫る中、今村氏はインフォテックから提供された見本を参考に、急ぎ新しい納品書・請求書の作成を進めた。
「新たに作成したのは、納品書、合計請求書、請求明細の3種類の帳票です。Create!Form上でのデザイン作成や設定は直感的に操作できたため、スムーズに進めることができました」(今村氏)
また、帳票出力環境としては、ノンコーディング帳票出力システム「Create!Form Magicfolder」を採用。基幹システムから出力されたデータを適切に加工し、Magicfolderが監視するフォルダーに配置するためのマクロを作成することで、基幹システムの改修を行わずに、Create!Formを介して必要なデータを帳票として出力する仕組みを構築した。
「Magicfolderの設定も自分たちで行い、既存システムの運用を維持しながら新たな帳票発行の仕組みを整えました。基幹システムのデータを所定のフォルダーに入れるだけで、オルフィスでの印刷が自動的に実行されるフローを確立できたのは大きな利点です」(今村氏)
こうして構築された新たな帳票発行の仕組みは、2023年9月末日から本番運用を開始。納品書は工場の出荷現場に設置した合計4台のオルフィスから、請求書は本社の複合機から印刷する形で運用されている。
最大の導入効果は、やはりインボイス制度に対応できたことだ。
「Create!Formとオルフィスを導入したことにより、インボイス制度のスタートに合わせて制度に対応した新しい納品書・請求書を発行するという当初の目標を達成できました」(今村氏)
また、印刷時間の短縮という面でも大きな成果が得られた。従来のドットインパクトプリンターでは、日々3,000枚程の納品書を印刷するのに約1時間かかっていたが、オルフィスへの移行により10~15分程度で完了するようになった。この導入効果は、社内の業務効率化に大きく寄与している。
「実際に納品書を発行する出荷現場からは、業務時間削減につながったという喜びの声が寄せられています。また、従来のデザインをほぼ踏襲できたこともあり、帳票のフォーマット変更に伴う取引先からの問い合わせもほとんどなく、スムーズに移行できました。オペレーションの変更に関して特に意見が出なかったことも、導入の成功を物語っていると感じています」(今村氏)
「Create!Form」と「オルフィス」のシステム連携イメージ
Create!Formを使った納品書・請求書発行の仕組みは、インボイス制度に対応した新しい基幹システムを構築・運用開始するまで利用される予定だ。
「今回のCreate!Formの導入により、自分たちで自由に帳票を作成・調整できる環境を手に入れられたと考えています。工場の出荷現場では、業務効率化につながるような帳票レイアウトの変更を検討しており、こうした改善にもCreate!Formを活用していく計画です」(今村氏)
さらにCreate!Formの活用範囲は帳票類にとどまらず、封筒の印刷にも広げていくことを検討しているという。
「納品書を収める封筒は現在、あらかじめ印刷されたものを外部から調達して使用しています。それを無地の封筒に切り替え、封筒の表面に当社のトピックや新製品紹介といったプラスアルファの情報を印刷するといった使い方もできるのではないかと期待しています」(今村氏)
Create!Formは、デザインフィルのビジネスを支える帳票ツールとして、今後も活躍の幅を広げていくことだろう。
※取材 2025年2月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。