三守鐵鋼株式会社
三守鐵鋼株式会社 総務部 総務課 係長 案納 邦彰氏
■業種
製造業
■事業内容
冷熱広巾コイルの連続剪断、鋼板・鋼材の加工受託・販売ほか
■適用業務
基幹システムからの帳票出力
■利用機能
PDF出力、印刷、ノンコーディング帳票システム
三守鐵鋼株式会社
総務部 総務課 係長
案納 邦彰氏
三守鐵鋼は、75年以上の歴史を有する鋼板加工メーカーだ。製鉄メーカーから仕入れた鋼板ロール(コイル)を顧客の製造ラインに適合するサイズに切断・加工し、自動車部品メーカーなどへ供給している。老舗企業でありながら、社長交代を機に現場のデジタル化を推進。Bluetooth計測器の導入など、若い世代が活躍できる環境づくりを進めている。
こうしたデジタル化の流れの中で、同社がバックオフィス業務の課題解決に動き始めたのは、2023年のインボイス制度施行が契機だった。
「インボイス制度への対応に伴い、請求書の書式変更が必要となりました。これをきっかけに、それまで手付かずのままだった帳票関連業務全体の見直しを進めることにしました」(総務部 総務課 係長 案納 邦彰氏)
同社では、日本IBMのミッドレンジサーバー「IBM i(旧 AS/400)」による基幹システムを運用している。このシステムは高い信頼性を誇る一方、標準機能では帳票のPDF出力に対応しておらず、エミュレータ経由で紙に印刷する運用が続いていた。
締め日には大量の請求書が発生し、取引規模の大きい企業では月200枚を超えることもある。営業が内容を確認し、総務が修正・印刷・封入・郵送する流れで、作業は2時間以上に及んでいた。
「紙前提の運用では、封入や発送作業に時間がかかるだけでなく、郵送後に『届いていない』という連絡を受けることもあり、心理的負担もありました。そのため、帳票の電子化・ペーパーレス化の必要性は感じていましたが、IBM iに手を入れることには、なかなか踏み込めずにいました。インボイス対応を機に新しい帳票システムの導入を検討することにしました」(案納氏)
同社が新しい帳票システムの検討に着手したのは、2023年初めのこと。「可能な限り既存の基幹システムを改修せずに連携できること」「スモールスタートが可能なこと」を最重視し、PDF自動生成やメール自動配信、インボイス制度への準拠なども要件に加えた。
検討を始める際にまず頼ったのは、長年取引のある ITパートナーの東海システム株式会社だ。そして東海システム株式会社が提案したのがCreate!Formだった。
案納氏によると、製品選定の過程では複数の導入候補を挙げて比較検討を行ったという。しかし、多くの製品はIBM iの基幹システムの大幅改修や別途ミドルウェアの導入が必要で、コスト増と導入長期化が懸念された。それに対してCreate!Formは、IBM iから出力したCSVデータをWindowsの指定フォルダーに転送するだけで帳票を電子化でき、コスト・期間の両面でハードルが低い。これが決め手となり、Create!Formの導入を決めたという。
「IBM iの基幹システムを大きく変えずに連携できることが重要であり、東海システム株式会社にはその部分を入念に調査してもらいました。その結果、Create!Formならば基幹システム側に大きく手を加えずとも、高度な帳票の電子化を実現できることが分かり、Create!Formが当社のニーズに最も合致していると判断しました」(案納氏)
必要な機能や適用範囲を選び、スモールスタートで導入できる柔軟性も高く評価する。
「インボイス制度の施行が半年後に差し迫っていたこともあり、短期間で確実に導入・移行することが急務でした。そうした中、社内の帳票をまとめて電子化するのは現実的ではありません。そこでまずは、インボイス制度への対応が必要な請求書と納品書に絞り、スモールスタートで導入することにしました」(案納氏)
こうして2023年8月からPoC(概念実証)を兼ねたトライアルを開始し、インボイス制度施行の10月を本番運用目標に、東海システム株式会社と協力しながら開発・構築を進めた。
「Create!Formは、当社のように専任のIT部門がない会社でも、自分たちだけで導入・設定作業が行えます。また、同一の帳票フォームでPDF出力と紙印刷の両方に対応できるので、『紙の請求書が欲しい』といった取引先の要望に合わせたハイブリッドな運用も可能です」(案納氏)
Create!Formの本番運用を開始してから2年以上が経過した現在、帳票業務は劇的な効率化を達成している。現時点における対象帳票は、請求書・納品書・売掛元帳の3種類。帳票システムは極めて安定して稼働し続けている。Create!Formでは、IBM iから出力したCSVデータを取り込むだけで、PDFの自動生成から得意先ごとのメール自動配信までを一括で処理できる。こうして帳票出力から配信までの流れを自動化した結果、導入前は営業部門と総務部門が手分けして2時間以上かかっていた締め日の請求書発送作業も、導入後はわずか30分程度に短縮できているとのこと。
「納品書発行業務は件数が多いため、とくに電子化・自動化の恩恵が大きいと実感しています。1日あたり十数社、1社あたり数枚~数十枚の納品書を発行するので、月間で見れば相当な数に上りますが、作業時間は以前の4分の1以下になりました。また紙の消費量が減ったことで、プリンタトナーの交換頻度が激減しました。さらに郵便料金の引き上げが続く中、郵送費を大幅に減らせたことも利益貢献につながっています」(案納氏)
さらに、無用なルーチンワークを解消できたことも大きな効果だという。とくに売上がない場合に発生していた「0円請求書」の仕分け作業が自動化されたことで、現場の作業負荷は大きく軽減された。
「以前は『0円請求書』を目視で確認して手動で抜く作業を行っていましたが、現在はシステム側で金額条件を設定しているため、『0円請求書』は自動で配信対象から外れます。このような無意味な単純作業から解放されたことは、業務品質の向上に直結しています」(案納氏)
このほか、取引先に請求書・納品書が届くまでのタイムラグがなくなるなど利便性向上にも寄与している。
帳票業務に携わる現場担当者や経営層からの評判も上々だ。営業部門からは「発送作業に時間を取られることがなくなり、本来の業務に専念できるようになった」という声が寄せられている。
「導入から2年あまりが経ちましたが、普段は動いていることを意識しなくて良いほど安定運用が続いています。自分たちで帳票フォームを修正できる安心感もあり、ベンダーに依存しすぎない体制が整ったと考えています」(案納氏)
Create!Formを活用したシステム構成イメージ

同社では今回の成功を受け、Create!Formの適用範囲を社内全体に拡大する構想がある。現在の目標は、IBM iの基幹システムから出力されるすべての帳票を電子化する「完全ペーパーレス化」だ。具体的には工場の製造現場で使用される作業指示書、加工実績を記録するための現場帳票などへの展開を検討しているという。
「基本的には、IBM iから出力している様式はすべてCreate!Formに移行したいと考えています。社内の管理書類であれば、紙で持つ必要はありません。現場の帳票については、装置から取り込んだデータと連携させ、現場担当者がより効率的に作業できる仕組みを構築することも視野に入れています」(案納氏)
既存の基幹システムを活かしながら、帳票業務の電子化を着実に進める三守鐵鋼。Create!Formは、その取り組みを支える基盤として、今後も帳票業務の進化を後押ししていく。
※取材 2026年1月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。