帳票運用の電子化で、紙の郵送コストを大幅削減
拠点間の押印手続きを最短1日に短縮し、介護DXを強力に後押し

パナソニック エイジフリー株式会社 システム組込 PDFダイレクト印刷

パナソニック エイジフリー株式会社
写真左より、DX推進部 デジタルソリューション課 細川 憲子氏、事業管理部 部長 小松原 健人氏

■業種
介護・福祉事業

■事業内容
介護サービス事業、介護ショップ事業、介護用品の開発・販売事業、介護事業者向け事業ほか

■適用業務
業務システムからの帳票出力

■利用機能
PDF出力、PDFダイレクト印刷

導入前の課題
  • ●セキュリティ方針により、既存のワークフローでは個人情報の扱いに制約があり、書類押印処理の電子化が進まない
  • ●約200カ所の拠点・施設へ書類を回送する必要があり、承認処理が完了までに約1週間を要していた

導入後の効果
  • ●グループのセキュリティポリシーを遵守しつつ、既存ワークフローシステムとの連携が可能に
  • ●郵送コスト削減と承認処理時間の短縮を実現し、DX成功事例として社内から高く評価

導入の背景
紙運用ゆえにハンコ出社が発生
郵送コストや承認リードタイムに課題

パナソニック エイジフリー株式会社
事業管理部 部長
小松原 健人氏

パナソニック エイジフリーは、介護サービス、介護用品の開発・販売、介護ショップ運営など、介護分野において多岐にわたる事業を展開するパナソニックグループの企業。在宅介護事業を中心に、介護付有料老人ホームなどの施設運営も行っており、介護用品レンタルや介護リフォーム、BtoBの介護・福祉事業者向け施設リノベーションなど幅広い事業を手掛けている。

日本全国に約350カ所もの事業拠点・施設を有する同社では、国や地方自治体など行政に届け出る各種申請書類や、顧客や取引先との契約書など100種類以上の書類を扱っている。従来はこれらを紙ベースで作成し、本社と各拠点とのやり取りを郵送で行っていた。承認フローは拠点担当者から始まり、上司、部長クラス、経理部門の受付担当、経理承認担当、経理責任者へと多段階を経る複雑な流れで、書類の種類や押印権限によって変動する場合もあったため、承認完了までに約1週間を要していた。ところがコロナ禍をきっかけに、そうした業務フローを大きく見直す必要に迫られたと、事業管理部 部長 小松原 健人氏はいう。

「コロナ禍において、在宅勤務でも業務を継続できるようにすることがパナソニックグループ全体で求められました。それまでのように、紙の書類に承認者が押印して回送するという業務フローでは、押印のためにわざわざ出社しなければなりません。また、紙書類を郵送する際の書類紛失や情報漏えいといったセキュリティリスクが懸念され、郵送コストや承認に時間がかかることも課題でした」(小松原氏)

こうした状況を解消するためにも、紙の書類を電子化してオンラインで回送するワークフローの仕組みが急務になっていた。なおワークフローの仕組みには、パナソニックグループが導入しているシステムを利用することにしたのだが、ここで新たな課題が発覚する。

「当社で扱っている契約書などの書類にはお客様の個人情報が記載されていますが、パナソニックグループのセキュリティポリシー上、既存のクラウド型ワークフローシステムでは個人情報の扱いに制約がありました」(小松原氏)

導入のポイント
グループのセキュリティ方針に則り既存システムとの柔軟な連携を実現

パナソニック エイジフリー株式会社
DX推進部 デジタルソリューション課
細川 憲子氏

これら課題を解決するために、DX推進部は、既存のワークフローシステムと連携しながら、個人情報を安全に扱えるオンプレミス環境内で、電子押印ができる仕組みを独自開発することに決めた。その仕組みの中で帳票処理を担うツールとして採用したのが、「Create!Form」だった。

「100種類以上の書類をそのままのレイアウトでPDFとして取り込めること、押印済みのPDFを画面に表示せずに規定のプリンターへ直接印刷できることが決め手となり、Create!Formを採用しました。この非表示印刷機能は、PDFを端末に保存して流用されるリスクを防ぎ、当社が求めていた高度なセキュリティ対策を実現するうえで欠かせない仕様でした」(DX推進部 細川憲子氏)

同社がCreate!Formの導入を決定したのは2021年7月のこと。そこから約半年かけ、ワークフローと組み合わせて、電子押印する仕組みを内製し、2022年1月から本番運用を開始した。

「独自開発した電子押印の機能では、登録済みの印影をマウスカーソルに追従させ、任意の位置にクリックで押印できます。押印データは暗号化されてデータベースに保存され、それを元にCreate!Formが押印済みのPDFを生成します。これにより紙と同じ感覚で安全に押印作業を行える仕組みが完成しました。構築にあたって最も苦心したのは、コンプライアンス要件を満たす部分でした。PDF化した書類を端末に保存して流用できてしまうことが一番の問題だったので、生成したPDFを画面に表示せずに印刷する仕組みをインフォテックからのアドバイスを受けながら実現しました」(細川氏)

セキュアなオンプレミス環境での帳票印刷運用イメージ

セキュアなオンプレミス環境での帳票印刷運用イメージ

導入の効果
書類が増えても手間は増やさず業務スピード向上とコスト削減を達成

パナソニック エイジフリーがワークフローと電子押印、Create!Formを組み合わせたシステムの本番運用を開始してから3年以上が経過した。行政への申請書類によっては紙書類への押印以外の提出が認められなかったり、高齢の契約者と交わす書類の中にはどうしても紙を使わざるを得なかったりする場合もあり、ワークフローと電子押印、Create!Formを組み合わせたシステムに移行した書類は現時点で3割ほどだという。

とはいえ、承認処理の業務フローを取りまとめる事業管理部にとって、その導入効果は決して小さくない。

「行政に働きかけた結果、『各種申請書類への電子押印は問題ない』と回答する自治体もありました。この仕組みの導入により、承認処理を行うために各拠点と本社間で書類を回送するケースが減少し、郵送コストが年間3割以上削減、紛失・誤送リスクも低減することができました。とくに従来1週間程度もかかっていた承認フローが、最短当日で完了するというスピード感には大きな効果を実感しています。ワークフローの導入当初と比較して書類の種類に増減の変動はなく、BtoB施設リノベーション事業の強化によって関係書類の数量はむしろ増えているのですが、業務負荷が高まるようなこともありません」(小松原氏)

この電子押印の仕組みを実際に利用する承認担当者からは「押し間違いがあっても訂正できる」「印影が欠けるといった心配がない」「パソコン上で処理できるので手間がかからない」といったように導入を歓迎する声が多数届いているとのことだ。

「今回の取り組みは、優れたDX推進施策として『エイジフリー アワード』という社内表彰制度で優秀賞を受賞しています。この賞を契機に、経営層・管理職の間でも同じような業務フローに適用できないかという期待の声が上がっています」(小松原氏)

今後の展望
業務フロー電子化の拡大を視野に紙運用からの完全なる脱却を目指す

このように書類と押印の電子化を進めるパナソニック エイジフリーだが、今後も継続的に適用範囲を拡大していく方針だ。

「現状の業務フローには電子化できていないものもたくさんあります。その中には顧客や従業員の個人情報が含まれる書類・帳票もあるので、今後もCreate!Formを活用したワークフローを構築する場面が出てくると考えています。とくにExcelやWordを使った定型フォーマットの書類・帳票については、Create!Formを使って帳票テンプレートを作成してそちらに移行するという使い方も積極的に検討していきたいと思います」(細川氏)

さらに同社が取り組んだ今回のシステム構築事例を参考に、介護・福祉業界全体で業務フローと書類を電子化する機運が高まっていくことも期待しているという。

「介護・福祉業界では現在も紙の書類を使った業務フローが一般的です。今回のようなシステムの整備が進み、顧客や取引先の間でも書類や押印を電子化することが当たり前に認識されていけば、最終的には紙書類の運用から完全に脱却できるかもしれません。現時点ですぐにというのは難しい状況であるものの、書類の電子化が将来の潮流になっていくことを待ち望んでいます」(小松原氏)


※取材 2025年7月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。

PDF版(印刷用)をダウンロード

導入事例TOPに戻る

ダウンロード